証・・・

昨日の事である。
2月も後数日で終わる。この季節の風物詩と言うか儀式と言うか
僕の野鳥撮影の原点である白鳥の旅立ちを見送りに行く事である。
昼を少し過ぎた所で時間を作り、白鳥の里へと出かけた。
ゆっくり行っても3時過ぎには着くだろうと、少し回り道をして向かった。
住宅地を過ぎ見慣れた田園風景が広がる。 いつもの沼に差し掛かる少し手前の道
を走っていた時、フト左側の視界にあるはずも無い雪のような白い物が、その褐色の
大地に感じられた。
しかしその瞬間戦慄のような物が走り、気がつくとリアゲートから三脚を出しカメラをセット
していた。

数十枚撮っただろうか、戦慄から興奮へ変わりそして安堵へ・・・やっと我に返り落ち着き
を取り戻した。
その白い物とは、餌食になってしまった物の証であった。 そしてその証を鋭い爪で掴み、
誇らしげにこちらを睨む様に引き千切り、飲み込んでいたのはオオタカであった。
まだ完全な鷹にはなっていないが、僕がレンズを向けても微動だにしない堂々さ、まさに
それは鷹である。

ファインダー越に彼を見つめて2時間が過ぎていた。 腕は痺れ、足は棒になっていた・・・
いつしか彼と会話をしているかの様な錯覚に陥っていた。
そして愛おしささえ感じていた・・・
しかし突然別れがやって来た。 その証を彼は全て自分の血と肉にするであろうと思って
いたが、少しのカケラを残し去って行った。
その瞬間を物にしようと ずっと動かず待っていたが、何故だかそれをこの目に焼きつきたいと思いシャッターからは指が離れていた。

僕は彼がゆっくり旋回しながら陽の落ちた地平線へ消え去るまで
ずっと見守っていた・・・ 
そしてさっきまで彼がいたその場所には、白い雪のような証が風に舞っていた・・・
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オオタカ
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  by KOICHI_78 | 2005-02-22 23:28 | ワシ・タカ・フクロウ

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